先日、JR山手線・渋谷駅構内で、駅員と乗客が激しく口論する動画が、SNS上で拡散されましたね。
これは男性が財布を線路に落とし、それを駅員が拾わないことに対して電車の停止ボタンを押したことから、駅員が激怒している動画でした。
この動画は世間に大きな衝撃を与え、様々な意見がネット上で飛び交う事態となりました。
さて今回は、「電車を停めた」ことについて、損害賠償額が一体幾らになるのか、というところを調べてみました。
非常停止ボタンを押した客に激昂する駅員さん
こちらがその動画となります。
聞いてみると確かに駅員さんは激怒されています。
しかしこの動画の前に何があったのか。
動画主が線路に降りようとしていた?
なんと、この動画の前に、財布を落とした男性が自分で財布を拾うために線路に降りようとしていたという目撃証言が!
他にもこういった証言も出ていました。
まとめるとこんな感じでしょうか。
- 男性が現金4万円が入った財布を落とす
- 駅員さんに取って欲しいと伝えた
- 駅員さん「電車が来るからすぐには取ることが出来ない、お待ち下さい」
- 男性待ちきれず線路に降りようとして止められる
- 5分経っても取ってくれないと非常停止ボタンを押した
- 山手線が止まって駅員さん激昂
非常停止ボタンを押していいのはどんな時?
今回は財布を落とした男性が非常停止ボタンを押して電車を停止させました。
この非常停止ボタンを押してよいのはどのような場合なのか?
基本的に非常停止ボタンを押して良いのは、「危険と判断される時」であるようです。
財布を落としたのを駅員さんに伝えていて、駅員さんは電車が来るから待っていてくださいと伝えたということは、危険ではなかったということになるのではないでしょうか?
山手線を止めて損害賠償金額は幾らになる?
今回のケースの場合、損害賠償金額は1000万円になってもおかしくないということがこちらの記事からわかります。
以下、日経ビジネスのラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路より
ケースバイケースでばらつきがありますが、結論から言うと私が知る事例は数百万円単位。仮に増えても1000万円単位ではないかと推察されます。鉄道事故の賠償金がどのように計算されるか考えてみると、まず、①車両の修理代があります。また、特急などの場合は②遅延による払い戻し代も発生します。さらに、③現場の清掃のためのコストが掛かります。④他の鉄道会社やバス会社に払う振替輸送代も必要です。このため、合計額がいくらになるかは、遅延させた時間がラッシュか、輸送量の少ない昼かでも違ってきます。
例えば、昼に発生した鉄道事故で遺族から相談を受けたことがありますが、その時は、数百万円単位でした。さきほど挙げた賠償金の内訳に照らし合わせても妥当だと思われる額で、このケースでは遺族と相談した上で全額払いました。ただ、場所が首都圏で、ラッシュ時に生じた遅延で何十万人の足が止まったなら、損害額が1000万円単位になってもおかしくないとは思います。
日経ビジネス ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路
ここで過去の事例を少しご紹介しておきます。
過去の事例①
調べてみると、弁護士ドットコムへこういった質問がありました。
「駅から転落し電車を停めてしまい330万の損害賠償を命じられた」と書いてあります。
この相談されている方たちが実際に賠償金を支払ったかのかはわかりませんでしたが、これを見ると損害賠償金を求められることは実際にあるということですね。
過去の事例②
2016年に鉄道会社側の敗訴が確定した「JR東海認知症事故訴訟」というものがあります。
これは愛知県で認知症男性が徘徊中に電車にはねられ死亡し、鉄道会社が家族に賠償請求した事件です。
ただこちらは弁護士さんの見解によると損害賠償目的ではなく、社会への問いかけのための裁判ではないかということでした。
JR東海の裁判は、電車にはねられ死亡した本人は認知症で、民法709条での責任を問えない可能性が高いと思われます。実際、裁判の争点も、認知症などで責任能力がない人が損害を与えた際、「監督義務者」がその責任を負うとする民法714条を巡るものでした。今後、高齢化社会が進展すれば、同様の事故が多発しかねません。JR東海は、賠償金目的というより、認知症者による鉄道事故の責任を誰が負うべきか社会に訴えかけるため、この裁判を起こしたとも考えられます。
日経ビジネス ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路
ネットの声
まとめ
今回の財布を落として非常停止ボタンを押したことについては、損害賠償を請求される可能性は高そうですね。
そして金額も高額となりそうです。
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